クレームを起こさないために役立つ!原因と初期対応の事例

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クレームが発生すると、会社やお店の信用にかかわります。来店いただいたお客様、お買い上げいただいたお客様の期待を裏切り、失うものはお金では解決できません。

お気に入りのお店でも、二度と行きたくないと思われてしまいファンを失います。

クレームにはサイズがあります。お客様から一言注意され済むこともあれば、責任者が対応し後日訪問してお詫びしなければ収まらない場合があります。

初期対応が適切であればその場で解決できます。しかし、初期対応が不適切であれば長引きます。

クレームを起こさないための接客は重要です。
しかし、起こってから原因に気づくこともあります。
クレームになる原因を理解し予防する必要があります。

事例から、気づかない原因や初期対応を学びましょう。事例は、顧客から学ぶ役立つ情報です。そして事例から、顧客接点では見えにくい「顧客の立場」を紹介していきます。

 

クレームは3つの原因から起こる

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1.商品

一番多い原因は商品です。小売店の場合は商品を仕入れるので、中身を確認できません。しかし、製造責任は製造側にありますが販売責任は販売側にあります。小売店は、見える範囲での「目視確認」しかできません。

製造業、例えば飲食店では、「異物混入」が一番多い原因です。製造過程で、頭髪や小虫が混入する場合があります。

また、原材料が劣化しているのに気づかず、食中毒のような大事故を招く場合もあり厳格な管理が必要です。

商品の流通は、製造 ➡ 問屋 ➡ 販売店へと流れていきます。それぞれの立場で責任をもつて管理することが求められます。

時には、どこの流通過程で起きたかわからない場合もあります。いずれにせよ、商品クレームや事故につながらないような日頃の点検が大事です。

 

2.サービス

サービスには幅広い視点があります。販売までのサービス、販売時点でのサービス、販売後のアフターサービス等さまざまです。

販売までのサービスは、顧客が気に入らなければその店では購入せず別の店を選びます。販売後のアフターサービスは、保証期間等は製造メーカーの対応です。

小売店では、販売時点でのサービスが重要になります。

小売店でのサービスクレームは、接客態度・言葉遣い・誠意等、基本的なことができていないために起こります。百貨店やスーパーのような大型店舗は、サービス教育に熱心に取り組んでいます。

しかし、それでもサービスクレームは起こります。逆に小さなお店でもクレームが起らない店舗も沢山あります。サービスは「永遠の課題」として取り組む必要があります。

 

3.顧客の立場

購買目的は顧客接点で知ることができます。しかし、顧客の立場はプライベートな問題なので、接客時点では教えてもらえずわかりません。

この販売時点ではわからない顧客の立場が、大きなクレームになる場合があります。

例えば、「お世話になった人へのプレゼント」という購買理由があったとします。問題は、「お世話になった人」に対する顧客の重要度です。

身近な人なら、適切な対応で大事に至らず解決できる可能性はあります。

しかし、会社で重要な上司や、命を助けてもらい引き続きお世話になる医師であれば、事は重大で簡単に解決とはいきません。

顧客の立場が悪くなり誤解を招くからです。

このように、顧客の立場は販売時点では予測も想像もできない場合があります。日頃からの商品の点検と接客時点での誠意あるサービスが必要です。

顧客の信頼を得ることにより「顧客の立場」を少しでも聞くことができれば一流の接客です。そして、得た情報をもとに質の高い販売ができれば、ファンづくりができ固定客が増えていきます。

 

・クレームは、①商品 ②サービス ③顧客の立場 が原因で起こる。
・販売時点で見えない「顧客の立場」が解決に重要なポイント。

 

クレームの対応は初期対応で決まる

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誠意のあるお詫びをする

まず、誠意のあるお詫びをします。
クレームは、電話・来店・郵送・メールから知らされます。その中でも、来店と電話が一番ビックリします。心の準備も考える時間もないからです。しかし、来店と電話の時こそが、初期対応として重要です。初期対応を間違えると問題は大きくなります。

理由は、顧客がなぜ連絡したのか、そして今どのような気持ちでいるのかを理解してもらえないと感じるからです。

言い換えると、この「顧客の理由と気持ち」を理解し初期対応につなげていくことが重要なのです。

心から誠意あるお詫びが必要です。顧客から「悪いと思っていない」「誠意がない」「邪魔くさく思われている」等、第一印象が悪いと、解決に時間がかかります。最初にしなければいけないのは、誠意あるお詫びをすることです。

 

顧客の話しを聞く

次は、顧客の話しをしっかり聞くことです。
顧客には二つのタイプがあります。感情的に話しをするタイプと、冷静に話すタイプです。

感情的に話しをするタイプは、一方的に話が続きます。この場合は、話し終えるまで相手の話しを聞くことが大事です。途中でこちらから解決策を提案すると、「話を聞いてもらえない」と思います。

とにかく、相手が落ち着くまでは話しを聞きましょう。

落ち着いた段階で、解決策を提案します。一方的に話をされると苦手意識を感じますが、意外と後の対応がスムーズに進む場合が多いのです。

それは、対応を期待するより不満を言いたい気持ちが強いからです。

冷静に話しをするタイプは、店側の対応を見ています。「この店は誠意ある対応をするのだろうか」と、話し方は冷静です。前者とは異なり、事情を説明し店の対応を聞こうとします。

誠意あるお詫びと対応ができれば、解決への道は開けます。

顧客の話しをしっかり聞くことにより、どのような状況で何をどうすれば解決するのかという解決策を見つけ出すことができます。これができなければ解決はできません。

 

解決策を提案する

最後は、解決策の提案です。
「提案」の意味は、顧客はこうして欲しいとはほとんど言いません。「どうしてくれるのか」と無言で聞いているからです。前記した顧客の話しを聞くことで、要望を見つけ出す作業が重要なのです。

解決策には①返金 ②交換 ③詫び状と粗品 ④訪問 等いろんな手段があります。どこまで必要なのかの判断は、対応した人の判断です。

しかし、できる限り手厚く対応しましょう。手厚い対応とは、相手の望みを予測し、その上のレベルで丁寧過ぎる対応を選択することです。

例えば、「お伺いさせていただき、お詫びいたします」と伝えます。

相手がそこまで望んでない場合は「そこまでしなくてもいい、交換商品を送ってほしい」といってもらえれば、解決策を見つけたことなります。

しかし、「交換商品を送らせていただきます」と提案した場合に「商品を送って済ますのか」といわれると、解決策にはなりません。

「訪問して謝れ」という要望があるのです。すると、あとの対応が余計に難しくなります。だから手厚い対応の選択は重要なのです。

すべてがこの方法で解決できるとは限りません。

例えば、目的が完全に〇〇目当てのような意図的なケースです。この場合は、上司か会社に相談します。

最終的には、毅然とした態度か解決への妥協策の選択になりますが、会社の判断です。ただし、初期対応はしっかりやっておきましょう。

逆手に取られ落ち度として利用されることがあります。

 

・クレーム対応は、初期対応で決まる。
・顧客の話しから解決策を提案する。

 

クレームを起こさないために役立つ事例

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クレーム事例の中で、見えない顧客の立場を紹介します。確かにお店側の不手際ですが、それに加えて顧客の立場がありました。最初から見抜くのは難しい話しですが、顧客の立場を理解できたからこそ解決できた事例です。実際に私が対応した内容です。参考にしていただければ幸いです。

【事例1】届け先は依頼主にとって大事な立場の人

ギフト配送の話しです。

依頼主からギフト配送を2件賜りました。それぞれにメッセージがあったのですが、梱包時にメッセージを互い違いに梱包し発送してしまったのです。依頼主から連絡があり間違いに気づいたのです。

依頼主に提案した対応策は、
①2件の届け先に事情を説明し、当社の間違えと説明する。
②2件の届け先を訪問し、お詫びとメッセージの回収をする。
③もう一度商品とメッセージを添え、2件の届け先に持参する。
④終了した段階で、依頼主を訪問しお詫びをする。このように説明をし、依頼主からは了解をいただきました。

依頼主と話しをしてわかったことですが、依頼主にとって届け先は大事な立場の人でした。依頼主は、大事な人に「いい加減な扱いをした」と思われたくなく、逆に対応に困っていたのです。

会社として、最大限の誠意をもって対応することが必要でした。依頼主の届け先への想いが伝わり、手違いがあったにしても依頼主の責任ではないことを証明する必要もありました。

 

依頼主の立場を守ることにより、解決できた事例です。

 

【事例2】孫を連れてきたおじいちゃんの立場

飲食店での話しです。

おじいちゃんが孫を連れて食事をしました。食事の途中に、孫が嘔吐しました。

びっくりしたおじいちゃんは、嘔吐した孫の面倒を見ながら心配したことでしょう。飲食店の担当者があとで気づき、体調を気遣い清掃をしました。

翌日、おじいちゃんからメールが来ました。ご指摘の内容は、

①当日食事をした顧客に、食中毒のような症状になった申し出がなかったか。
②なぜもっと早く、担当者が気づかなかったのか。
③今回の対応に対して納得できない場合は、しかるべき対処する。

という内容でした。メールだったので、住所や連絡先は記載されていませんでした。
このメールの内容から、顧客の意図を予測すると、

①孫を連れてきて、仮に食中毒の可能性があれば自分の責任になる。食中毒のような事実があったのか確認する必要がある。
②原因はともかく、もつとお店として孫に気遣いをしてほしかった。ほったらかしにされた気持ちになり、孫がかわいそうだ。

と考えたのだと思いました。おじいちゃんの立場がなかったのです。

私はメールで返事を出しました。
①孫に対する気遣いにお詫びする。
②その後の体調を伺い、病院で診断の必要があればお願いする。
③事態に対する対応が遅かったことをお詫びする。
④食中毒的な申し出は一切ない。会社が隠蔽するようなことはあってはならないことである。仮に申し出があれば、会社は保健所に届ける義務があり、保健所からの申し出もない。と説明しました。その後、連絡はありませんでした。

おじいちゃんには、孫を連れてきた責任があります。食事には問題がなかった事実を確認する必要がありました。そして、自分の立場をわかってほしい想いもあったのです。

 

顧客の立場を理解し守らなければ、問題は解決しません。

 

【事例3】人前で恥をかいた男の立場

化粧品売り場での話です。

夫婦で化粧品売り場に来店されました。奥さんはお気に入りブランドで買い物をしている間に、ご主人は乳液のテスターを使おうとしたのです。

テスターを強く押したのでしょうか、乳液がカッターシャツに飛び汚れました。ご主人から連絡があり、この件がクレームになったのです。

私は、お伺いしてお詫びし、カッターシャツをクリーニングに出しお返しすると伝えました。

訪問した際には、ご主人ではなく奥さんがでて来られてカッターシャツを預かりました。

すぐに、いつもお世話になっているクリーニング会社の技術者の方に渡し、クリー二ングをお願いしました。出来上がるとすぐにもう一度訪問し、お渡ししました。

今度も奥さんがでて来られ「すみませんでした。ありがとうございました」といって、少し笑みを浮かべました。

最初から夫婦はわかっていたのです。女性の化粧品売り場で、男性が興味本位でテスターを使ったからこうなったと。

要するに責任は自分自身にあることを自覚していたのです。しかし、化粧品売り場で恥をかいたご主人は、責任の矛先を会社に向けました。

主人が私に会わなかったのも理解できます。奥さんが少し笑みを浮かべたのは、「主人が勝手にやったのに、ありがとうございます。主人もこれで納得します。」という意味だったのです。

果たして、ここまでする必要があるのかという議論はあります。しかし、やはり私たちの顧客であり、相手の立場もあります。特に容認できない無理難題を求めているのではありません。

 

顧客の立場を守ることによって、より良い信頼関係が築けると考えたのです。

 

今回紹介した事例には、目に見えない顧客の立場があります。初期対応で見えない顧客の立場をあえて見抜くことは難しいことです。

しかし、経験が大切です。

クレームから逃げす嫌がらず、積極的に取り組みましょう。そうすれば、見えないことが見えてくるのです。

クレーム対応は雑用ではありません。人の能力を高める立派な仕事なのです。

 

まとめ

 

仕事とクレームは常に同居しています。クレームを起こさない努力は必要ですが、起きたときの対応も必要です。原因を理解し予防策を講じ、起きたときの初期対応をしっかり身に付けましょう。

それでも起きることはあります。目に見えない顧客の立場は、販売者には読み取れないことがあるからです。

クレーム対応から多くのことを学び、より顧客に支持される経営を目指しましょう。クレーム対応は、顧客が教えてくれるありがたい情報です。

 

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