クレーム対応には種類があります。その種類によって、解決への難度も変わってきます。商品やサービスのクレームであれば返金や交換で解決できる場合が多いです。
しかし、商品やサービスではきなく、ケガをさせたときの対応は、精神的、肉体的な影響を与えます。対応が難しく時間がかかります。
今回の【事例】では、お店で顧客にケガをさせたときの対応を紹介します。
「ケガであれば、保険で対応できるのでは?」と思いがちですが、お金や保険だけでは解決できません。話がこじれると裁判になります。
解決のためには、優先する手順があり.間違えると解決しません。誠意が通じず、顧客は安心感をもてず不信感を抱くからです。
顧客から「対応が良かった、納得できた」と言われるようになりましょう。そうなれば、どんなクレームでも恐れず対応できます。
クレーム事例から学ぶ
事例紹介
顧客がケガをした事例です。
5月に起きた事故です。
店舗の外にある販売台を、柱にロープで括り付けていました。柱と販売台には僅かな隙間がありましたが、まさかその隙間で足を引っかけるとは考えていませんでした。
しかし、その「まさか」が起き、顧客が足を引っかけ転倒しました。顔、唇、膝に傷を負うケガになったのです。
ご夫婦で来店されており、転倒したのは奥様で、ケガの状態は軽くはありませんでした。
私は近くの病院に案内すると言ったのですが、家が少し遠いので、帰りに薬局で薬を買って帰ると言われ、私はその日の夜に連絡を入れ状況を伺い後日訪問しました。
最初は顔の腫れがひどく、病院ではレントゲン、CT等の治療をし、続けて首・肩等が少し痛くなり電気治療を受けました。週に一度程連絡を取り、状況を伺いました。
良くなってきたので2か月に一度、顧客から手紙の連絡に変わりました。その都度、治療費を送りました。
12月の終わりに、顧客から「良くなったので、最後の治療費・・・」との手紙が届き、年明けに「今後何かあれば連絡してください」と、今回の事故のお詫びも含め手紙を出しました。それ以降は、連絡がありませんでした。
対応には、6か月間かかりました。
失敗しない方法とは
1.ケガの治療を、責任をもって勧める
勿論、ケガに対するお詫びは必要ですが、誤っているだけでは解決しません。まず、ケガの治療を勧めます。病院の紹介や同行、医療費の負担をすることも必要です。
医師の診察は大ごとのように思えますが、専門的な見地からケガの判断しておいた方が後になって「良かった」と思えることもあるのです。また、「病院に連れて行ってもらえなかった」と言われないことも必要です。
優先する手順は、責任をもってケガの治療の対応をすることです。
2.連絡を絶やさず安心感を与える
ケガをした顧客は、最初はビックリしています。しかし、時間が経つと落ち着き、店側の不備や責任を考えだします。
家に戻った後のフォローが大切です。必ずその日のうちに連絡を取りましょう。
状況によっては、何度も連絡を取り、ケガの状況や後遺症などの変化を把握する必要があります。「病院で治療すれば終わりだと思われた」と感じさせてはいけません。連絡を取ることで顧客も安心します。
連絡だけでなく、必ず直接お伺いしお詫びも必要です。ケガをした顧客が一番不安なのです。
3.顧客が納得できるまで対応する
クレーム対応には終着点があります。起きたクレームが解決するときです。問題は、どのような解決で終了したかです。顧客が快く納得できればベストです。お金や補償の解決ではベストとは言えません。
顧客対応に少しでも焦りや急ぎを与えると、「早く終わらせたいのだ」と思われます。一度不信感を抱くと、もう信頼の回復はできません。
そして、「終わらせたいなら示談で解決しましょう」となり、最悪の場合は裁判になります。しかし、「最後までお付き合いします」と誠意が伝わると、顧客は安心できます。
商品やサービスのクレーム対応との違い
1.ケガは肉体的に傷が残る
顧客のケガと治療のクレーム対応は、商品やサービスのクレーム対応とは違います。
「顧客がケガをした」という大きな違いがあります。
いつも以上に、顧客が納得できるまで対応する必要があります。
ケガの対応は、ケガの治療と顧客の安心が最優先です。ケガはすぐに治るものではなく、後遺症の問題もあり顧客は不安です。
ケガのクレーム対応は、決して急がす、治療も後遺症も大丈夫だと思えるまで時間をかけなければ解決しません。
2.傷は精神的な苦痛が残る
どんなクレーム対応でも、誠意がなければ解決しません。ケガの対応は傷も残りますが、傷は元には戻りません。特に女性にとっての傷は、精神的なショックは大きいと考えなければいけません。
誠意をもって対応し、精神的な安心感が必要です。精神的なショックを理解しなければ、問題は大きくなり、関係は余計にこじれます。
最大の誠意を示し顧客との信頼関係を築き、安心して治療に集中できる環境をつくる必要があります。
3.保険による示談は最後の手段
誠意をもって対応すれば、顧客に伝わり理解は得られます。後遺症や致命的な問題がなければ、普通は示談までは至りません。
気持ちとしては納得できても、後遺症や休業補償が伴う場合は、示談は避けられません。当然のことです。
しかし、前記のように対応の不備での感情的な示談は避けなければ、会社の信頼に関わります。示談は担当者に対してではなく、会社に対しての要求です。
顧客対応に誠意と時間を惜しまず顧客の立場に立ち、顧客から「対応が良かった、納得できた」と思ってもらえるまで対応しましょう。
クレーム対応からは絶対に逃げることはできません。
まとめ
顧客がケガをするクレーム対応は、誰もが嫌がる仕事です。しかし、会社に責任があれば避けることはできません。一番苦しんでいるのは、当事者である顧客です。
ケガのクレーム対応には、まず誠意が伝わることが必要です。そして、急がず時間をかけ安心感を与えなければいけません。
顧客のケガは、肉体的と精神的な苦痛があり、その気持ちを理解し対応に安心感を与える必要があります。急いだり焦ったりすると信頼関係は築けず、最悪は裁判にも成り兼ねません。
誠意が通じ、顧客の納得と理解がなければ解決しません。顧客から「対応が良かった、納得できた」と思ってもらえる対応には、誠意と勇気が必要です。
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