会社の秘密を守る義務、「言える、言えない」を決める根拠とは?

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働く人たちには、会社の秘密を守る義務があります。どのようなルールがあり、どのように決められているのでしょう。

まず、法律上の定めがあります。企業の秘密を守り保全するための法律と、顧客等の個人情報の取り扱い方法を定めた法律です。

次に、会社では従業員に対し就業規則で定められています。よく理解しておかなければいけない内容です。普段は見ることはない就業規則ですが、この機会に確認しておきましょう。「言える、言えない」を決める根拠があります。

最後に、従業員として絶対にしてはいけないことがあります。今まで気に留めてなかったことかも知れませんが、もし何かあれば責任問題になります。

社会人として求められる判断基準は、社会のルールを理解した上で判断しなければいけません。わからないことは、上司に相談することです。

組織は何かあったときには、「犯人捜し」をします。自分で責任を取れないことは絶対にしないことが大切なのです。

秘密を守る法律上の「定め」がある

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法律上の定めとは

秘密保持を法律で定めることにより、個人や会社の利益を守り不利益を受けないことを目的としています。個人や会社の情報を漏らし不利益を与えないように、法律で守られています。

「守秘義務」や「秘密保持義務」という言葉をよく聞きます。職務上知り得た秘密を守り、個人情報を漏らさないといった義務のことです。

「守秘義務」は、医師や弁護士、公務員等の特定の職業や職務に従事する者、従事していた者が守らなければいけない法律上のルールです。
「秘密保持義務」は契約の当事者に対して課せられる義務です。民間の契約上課せられるものであり、特定の業務に限られます。

この義務を定めた法律は、「不正競争防止法」と「個人情報保護法」があります。前者は企業の秘密を守るため、後者は企業顧客等の個人情報を守るための法律です。

不正競争防止法

競争相手の悪い風評を故意に流したり、ライバル会社の商品のまねやコピーをしたり、競争相手の技術を産業スパイのような方法で盗む等の公正ではない行為を禁止しているものです。

従業員は会社で知り得た「企業秘密」を他に漏洩してはいけない義務を負っています。

企業秘密とは、企業活動に関して公表されていない情報です。企業が公表を望まず、経済的価値を持つ情報です。技術秘密および営業秘密等が該当します。

個人情報保護法

個人情報を取り扱う事業者に対して、個人情報の取り扱い方法を定めた法律で、「個人情報の有効活用」と「個人情報の保護」が目的です。個人情報は厳格に適切に取り扱うことを定めています。

個人情報とは、その人の個人に関する情報で、その内容で特定の個人を識別できるものです。住所・氏名・生年月日は個人を特定できるため個人情報です。

また、防犯カメラの画像やメールアドレスも該当します。

「言える、言えない」を決める根拠とは

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就業規則を知っておく

職場で働く人たちは、会社の秘密を守る義務をどこで決められているのでしょう。答えは、就業規則で決められています。

就業規則は労働基準法により管理されている職場ルールです。「労働基準法により管理」とは、法律上認められているルールという意味です。

この就業規則にはいろんな項目があります。その中で「懲戒解雇」や「個人情報の取り扱い」の項目等を確認しましょう。記載があるはずです。

例えば、懲戒解雇の項目には

会社の業務上重要な秘密を外部に漏洩して会社に損害を与え、又は業務の正常な運営を阻害したとき

このような記載があります。この記載内容に該当する場合は、懲戒解雇ができるという意味です。

次は、個人情報取り扱い項目に

従業員は、会社の定めた個人情報管理を遵守するとともに、取引先・顧客その他の関係者・従業員等の個人情報を正当な理由なく開示したり、利用目的を超えて取扱い、漏えいしてはならない。

会社を退職した場合においても同様とする。

このような記載があります。この記載内容に該当する場合は、「会社の業務上重要な秘密を外部に漏洩して会社に損害を与えた」と判断される場合があり、懲戒解雇に該当することもあります。

このように会社は、企業情報や個人情報に厳格です。問題が起きれば、会社の責任になり、社会的信頼を失うからです。就業規則をよく理解しておくが必要です。

業務上重要な秘密とは

では、業務上重要な秘密とは何なのでしょう。企業秘密は前述したように、「企業活動に関して公表されていない情報で企業が公表を望まず、経済的価値を持つ情報」です。

しかし、就業規則には、「会社の業務上重要な秘密」と記載されています。違いはどこにあるのでしょう。

企業秘密は、企業の生命線であり重要な秘密です。ですから、従業員であっても知る人は一部の人だけです。

一方、業務上重要な秘密とは、それぞれの従業員が携わっている会社の秘密です。全従業員が業務上重要な秘密をもっていることを意味しています。

「マル秘」と「社外秘」には要注意する

しかし、何が重要な秘密とは記載されていません。要するに会社は、「業務に関わることは、重要な秘密と考え他人に漏らしてはいけない」という意味にしているのです。

「言える、言えない」と考えず、言ってはいけないというメッセージです。

会社はあえて重要な事項には、書類に「マル秘」とか「社外秘」のスタンプを押します。この書類は、特に取り扱いには注意が必要です。会社として重要性を意思表示しているからです。

「言える、言えない」はどこで判断するのかと考えず、すべては業務上の重要な秘密と考えましょう。もし、何かあったときには、会社は就業規則に基づきます。ささいなことでも管理能力を問われ、責任問題にも発展します。

こんな場合はどうなる?

しかし、会社は建前は厳格ですが本音は曖昧なところがあります。例えば、こんな場面を見たことがあると思います。

上司が取引先と話しをしている場面で、「おかげさまで先月の成績は、前年比105%だったよ!また宜しく頼むよ!」とか、「来年は新入社員が配属されるから、君の会社を担当させるのでヨロシク!」この場合はどうなるのでしょう。

会社の売上や人事に関する事項は「業務上重要な秘密」に当たります。それを取引先に話しをすることは許されるのでしょうか。「秘密」を「情報」と置き換え、会社に利益をもたらすように活用しています。

誰が良し悪しを判断するのでしょう。現実問題として、この内容で責任を問われることはありません。このように業務上の秘密は暗黙の了解のもとで曖昧さがあります。

「言える、言えない」の判断基準は、自分で責任が取れるかです。自分で責任が取れないことはやってはいけません

絶対にしてはいけないこと

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資料やデーターを持ち出す、渡す

厳格でありながら曖昧な慣習となっていますが、絶対にしてはいけないことがあります。

まず、資料やデーターを会社から持ち出すことです。帰宅残業で持ち出す必要がある場合があります。しかし、もし紛失した場合は大ごとです。個人情報は特に問題になります。

どうしてもの場合は、上司に許可をもらいましょう。簡単には許可されないかも知れませんが、無断持ち出しは絶対してはいけません。許可の責任は上司ですが、紛失の責任は自分自身にあります。

更にしてはいけないことは、他人にコピーを取って渡すことです。データーで渡すのもおなじです。完全にルールを破った処罰の対象になります。もし、自分に利益があるためであれば、「背任行為」になります。絶対にやめましょう。

権限や立場を誤解しない

人は権限や立場で、誤解します。例えば、「オレは部長だから良い、君は係長だからダメだ」と判断する上司がいます。

確かに、部長と係長では権限や立場は違います。しかし、してはいけないことは、権限や立場には関係なくおなじ価値観です。

権限や立場の違いは、責任範囲の違いです。係長より部長の方が責任範囲は広く、そのために権限を与えられます。だからこそ、自分で責任が「取れる・取れない」を勘違いしてはいけないのです。

わからないときは上司に確認する

どこまで権限があり、許されるのかわからないときは上司に確認しましょう。上司は「ここまでならOK」と判断します。日頃のコミュニケーションを通じ、自分の権限を理解することは大変重要なことです。

勝手な思い込みをしなくなり、同時に、自分を守ることができるからです。

他人は情報を知りたがっている

他人や競争相手、取引先は情報を知りたがっています。情報収集はビジネスでは互いに必要です。「聞くだけ聞いて、話さない」では、信頼関係は成り立ちません。

だからと言って、権限や立場を超えた情報はいけません。

情報社会では、「ここだけの話し」は通用しません。「誰が言った」はすぐに知られてしまいます。情報とはそのようなものです。

だからこそ、自分に責任がかかってくることもあります。「自分で責任が取れるか」は、重要な判断基準なのです。

まとめ

会社の秘密を守る義務は、従業員であれば全員に課せられています。秘密を守る義務は、まず法律で定められています。

そして、会社に属する人は、会社の就業規則で定められています。働く人たちは、就業規則を読んでおく必要があります。

何が会社の秘密なのかは、確かに曖昧です。しかし、会社の秘密を「漏洩」と判断された場合は、厳しい処罰が待っていることも知っておきましょう。

社会人としての判断基準は、上司に相談することです。組織は何かあったときには、「犯人捜し」をします。自分で責任を取れないことは絶対にしないことが「判断基準」と考えましょう。

 

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