誰でも長く働きたい職場を選びたいと思います。会社には「働きやすい」と「辞めたくなる」2つのタイプがあります。どのような違いがあるのでしょう。
そのためは「2つの会社タイプ」を知っておく必要があります。
「家業と事業」はどのように違うのでしょう。家業は経営者と家族のために、事業は従業員・お客様・関係者と社会のために行う事業です。
家業の考え方は、従業員は辞めたくなり優秀な人材は離れていきます。経営者と家族のための経営だからです。
事業の考え方は、従業員は働きやすく優秀な人材が育ちます。従業員は会社の財産と考え、育てようとするからです。
企業規模ではなく、この違いこそが気づかない経営の正体なのです。
「家業と事業」の違いとは
1.経営の目的
家業と事業は、何のために・だれのために行うかの目的の違いです。この経営目的の違いは、会社を選ぶ大きな理由になります。
事業は、従業員・お客様・関係者と社会の幸せを目的とした事業です。
目的が根本的にちがいます。家業は、我が家のために行う事業です。家族が幸せになり、利益を家族で分配する目的で行われます。言い換えれば、家族中心の考え方で行われる事業です。
事業は、従業員が働き続けることができるように、お客様に支持され評価が高くなるように、関係者には評判良く協力してもらえるように、そして社会に貢献できる目的で行われます。
このちがいが更に大きな価値観のちがいになってくるのです。
2.従業員への優先順位
事業の目的が違えば、優先順位も違います。経営は、経営資源(人・物・金・情報・ノウハウ)と常に向き合わなければいけません。特に成果を生み出す人(従業員)は、経営の財産です。
商品を売る・作る等、従業員がいなければ会社は成り立ちません。商品はお金で買うことができますが、従業員との人間関係や信頼関係はお金では買うことはできません。
事業の目的には、人(従業員)が含まれていますが、家業の目的には人(従業員)が含まれていません。家業の経営者は言葉では大切だといいますが、本質的には優先順位は後方に位置づけられています。
しかし、個人商店でも事業としての考え方をもち、人(従業員)を大切にする会社はたくさんあります。
3.ルールを守る環境と考え方
コンプライアンス(法令順守)が重要視される現代において、コンプライアンスは経営者の勝手な判断や解釈はできません。違法行為になります。
事業ではコンプライアンスは厳格に管理されます。取締役、監査役、法律事務所、株主、従業員、消費者・・・多くの組織の監視下にあります。
経営者は株主の投資を預かり、合法的に運営する役割であり、厳しいチェック機能が働いています。
家業では経営者の独断で判断される環境にあり、コンプライアンス機能も薄く経営者の判断で決済されがちです。勿論、事業も家業も不正は違法行為です。
このようにルールを守る環境の違いが、都合の良い判断を助長する場合もあります。
4.お金の概念
お金の概念は、管理・使い方・考え方等、お金に関わるすべてです。その概念の違いは、管理の仕方や厳格さの違いでもあります。
事業では売上・利益・販売管理費等の事業計画が必要です。旧年度結果、新年度計画を株主総会での承認が必要です。書面にて株主総会で説明をし、承認を得なければ経営者は認められません。
家業では形式的な株主総会を開催し、経営者の一存で決めることができます。お金はだれのものなのか・・・概念が違うのです。
辞めたくなる原因
長く働きたい会社であるためには、従業員を大切にする会社であることが必要です。会社との人間関係が上手くいかなければ、いつかは辞めることになります。
同時に信頼関係がなければ、職場に夢や希望はもてません。
家業の従業員への考え方には、次のような特徴があります。
1.従業員を育てる気がない
従業員を育てる考えはありません。家業は自分たちの幸せが一番なのです。従業員は単なる「労働力」と考え、従業員の幸せには関心はありません。
2.雇ってやっていると思っている
働けることを幸せだと思え、雇ってやっているのだ・・と考えています。もはや人間的扱いなのか、という声もよく聞くことです。
3.親族を優先し、従業員には権限を与えない
従業員には権限を与えず、経営者がすべての実権をもっています。従業員には権限をもたせず、権限のある人のように仕事の成果を求めます。これでは、おかしいとしかいえませんが、従業員は文句もいえません。
4.イエスマンにならなければ平気で辞めさせる
経営者にとって、イエスマンが良い従業員です。極端な話しをすれば、仕事よりもイエスマンです。イエスマンにならなければ、平気で辞めさせます。離職率の高い会社は、この傾向が強いのです。
5.従業員の将来は考えていない
従業員に感謝の気持ちはありません。従業員の将来など考えていません。従業員は使い捨てなのかも知れません。むしろ、もっと優秀な従業員を探しています。
「家業」の考え方
1.「会社のお金は経営者のお金」と思っている
会社のお金を公正な管理はできていません。会社のお金は経営者のお金だと思っているからです。だれかの許可を得る必要はありません。
事業では、お金の取り扱いに関する「規定」があります。「規定」とは、会社が決めるルールです。会社が決める規定に基づき管理されています。
厳しい会社では業務監査を実施し、規定が守られているか定期的に点検を実施します。
2.役員報酬は高く、従業員の賃金は低い
従業員の賃金は低く、昇給しません。権限を与えないので、昇格もありません。従業員の給与は何を基準に決めるのでしょう。しかし、経営が赤字でも役員報酬はしっかり確保します。
事業では、役員報酬は株主総会で承認されなければ決めることはできません。勝手に決めることは許されていないのです。
従業員の賃金は、昇給・昇格に関する規定や賃金に関する規定があります。規定には基準が定められ、従業員が正しい評価を受けることができる仕組みになっています。
3.親族で役員を固め、外部の人間を入れない
役員はすべて親族です。外部の人間(よそ者)は絶対入れません。すべては、自分たちを守るために親族で役員を固めます。
4.利益が出ると、家族で贅沢をして納税しない
納税を嫌い、節税に励みます。利益が出ると、家族で贅沢をします。税金で取られるなら、経費として使ってしまうのです。高級車をよく見かけませんか。
5.自分が法律だと思っている
都合のいい理由を並べて、自分が正しいと主張します。自分が法律であり、すべて自分の権限が絶対だと考えています。
まとめ
「働きやすい」と「辞めたくなる」は、従業員の考え方や行動にも違いはあります。また、職種や労働条件にも選択のポイントがあります。
しかし、会社の考え方は大きな要因です。その考え方の違いが「家業と事業の経営目的の違い」なのです。
会社の大きさや従業員数ではなく、経営者の事業目的の違いです。しかし、この違いが従業員にとって大きな影響を与えます。特に従業員に対する考え方は、長く働きたい従業員にとって重要ではないでしょうか。
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